【書評】 伊勢崎賢治先生 「本当の戦争の話をしよう」紛争や国際政治の実態がわかりやすく書かれた良書



    長年紛争地で武装解除に関わって来た伊勢崎賢治先生の講義を再編集した書籍です。この本がユニークなのは、高校生向けの講義をまとめたものなので、国際政治や紛争の理論や実態というのが、かなり砕けた文体で書かれており、とてもわかりやすい点です。

    新書でも国際政治や紛争に関して書かれた本は出ていますが、お固い本が多く、言葉の遊びになってしまっていることがあります。この本は実際の講義をまとめているので、エッセンスが奇麗にまとまっている上、新聞や雑誌、テレビの報道ではどうも物足りないという大人の知識欲を満たしてくれます。

    ワタクシ元々の先行は国際政治学なのですが、紛争や国際政治の世界で、実務家が書いた本というのがあまりありません。あっても、難民キャンプはこんなに大変だみたいなお涙本になってしまっており、この様に、ハードな交渉や実務を経験した方が、裏側を語ってしまっている本というのは実は大変貴重なのです。色々と利害関係があったり、現場があまりにも凄惨だったりするので、とても書けないという実務家が多いのが理由だと思います。
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    【書評】「本で床は抜けるのか」西牟田靖さん 人はなぜものを捨てられないのか?



    著者様より献本お礼。

    本の将来について書かれた本記事は溢れていますが、どうしても電子本は売れるのかどうか、本屋はどうなるのかという、ビジネスサイドの話になってしまい、「物理的な本をどうするのか?」について書かれたものは案外ありませんね。そう、よく考えたら本は物理的な物体なんです。

    この本はライターである著者や、学者、本好きの方などが蔵書をどうしているのか、本で床は本当に抜けるのかを丹念に取材したユニークな本です。様々な例がでてきますが、やはり電子化してどうにかしようとしている人が多いのが気になります。音楽の様に、コレクターズアイテムや貴重なものは物理的に所有し、あとはデータ化するか、アーカイブやストリーミングから適宜取り出して使うというやり方が主流になって行くのでしょうね。

    ワタクシも家人も蔵書が沢山ありますが、資料として使うものは電子的に購入してハードディスクやクラウドなど数カ所に分散して保存し、楽しみとして読むものは紙で買っています。例えば詩集、哲学本、愛蔵版、歴史書、図鑑などですね。いらないものは一気に捨てています。イギリスでは日本よりも本の電子化が進んでしまっているため、本を引き取ってくれる古本屋がなかなかないので、労力を考えると捨ててしまった方が早いわけです。

    ところでこの本で最も面白いのは第12章です。著者の西牟田さんの奥様とお子さんが別居のため家を出て行く話、そして別居のために本を処分する話が中心です。

    家事や家計の分担のことで不満があったと突然怒りだして別居を切り出す妻、出て行った際にベビーカーや食卓に歯形のついた絵本など大量にものを置いて行った妻、それを拾って一つ一つに対する思い出を回想しながら酒を飲む元夫。

    妻の不満に気がつかなかった夫、積み重なって行く些細な不満、心のすれ違い、割り切る妻と未練のある夫、関係の修復よりも仕事を優先した夫、そして、しばらくたってから、取り返しのつかないことになってしまったと後悔する夫。

    12章だけで一冊の本になりそうです。

    「だけど一緒に暮らしていた証拠を簡単にすてることはすぐにできなかった」

    日本では方付けコンサルタントが活躍していたり、断捨離なんて言葉が流行っています。認知症なのではないかと思われるお年寄りの家がゴミ屋敷として報道されることがあります。ものを処分できないのは、もったいないからではなく、一緒に暮らした証や自分が生きて来た証拠を失いたくないからです。

    人が紙の本に拘るのは、本の内容だけではなく、その本を手に取った瞬間、買った店、置いていた本棚、その本の周囲にいた自分の大事な人々の記憶を失いたくないからなのです。

    【最近読んで良かった漫画】アニウッド大通り



    ネットでニュースを読んでいて気になったので、試し読みを読んでみたら思いの他面白く、Kindleでまとめ買いしてしまいました。

    作者さんはワタクシよりちょっと年上の方だと思うのですが、アニメや漫画に対する愛が感じられる素晴らしい作品です。雑誌連載ではなくWebに自費出版(という言い方で正しいのかな?)されていた作品なので、手作りな感じ、同人的な感じ、インディーズのアルバム的な感じが漂っています。ストーリーも作画もなんだか自由で楽しいです。30代後半以上ホイホイの80年代ネタ満載なのも感涙物。アニメ業界の裏側とか、宮崎巨匠のネタもナイス。

    最近は、雑誌連載の漫画よりも、こういうWeb発の漫画の方が面白いと思うことが増えて来ました。連載物はどうしても雑誌のカラーがでていたり、作者さんはほんとはこういう方向性は嫌なんだろうなあ、というのがなんとなくわかるのですよね。

    試し読みはこちらから。試しといいつつ結構読めるのが太っ腹ですね。ビューワーが軽快なのがありがたいです。

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