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    【書評】「本で床は抜けるのか」西牟田靖さん 人はなぜものを捨てられないのか?



    著者様より献本お礼。

    本の将来について書かれた本記事は溢れていますが、どうしても電子本は売れるのかどうか、本屋はどうなるのかという、ビジネスサイドの話になってしまい、「物理的な本をどうするのか?」について書かれたものは案外ありませんね。そう、よく考えたら本は物理的な物体なんです。

    この本はライターである著者や、学者、本好きの方などが蔵書をどうしているのか、本で床は本当に抜けるのかを丹念に取材したユニークな本です。様々な例がでてきますが、やはり電子化してどうにかしようとしている人が多いのが気になります。音楽の様に、コレクターズアイテムや貴重なものは物理的に所有し、あとはデータ化するか、アーカイブやストリーミングから適宜取り出して使うというやり方が主流になって行くのでしょうね。

    ワタクシも家人も蔵書が沢山ありますが、資料として使うものは電子的に購入してハードディスクやクラウドなど数カ所に分散して保存し、楽しみとして読むものは紙で買っています。例えば詩集、哲学本、愛蔵版、歴史書、図鑑などですね。いらないものは一気に捨てています。イギリスでは日本よりも本の電子化が進んでしまっているため、本を引き取ってくれる古本屋がなかなかないので、労力を考えると捨ててしまった方が早いわけです。

    ところでこの本で最も面白いのは第12章です。著者の西牟田さんの奥様とお子さんが別居のため家を出て行く話、そして別居のために本を処分する話が中心です。

    家事や家計の分担のことで不満があったと突然怒りだして別居を切り出す妻、出て行った際にベビーカーや食卓に歯形のついた絵本など大量にものを置いて行った妻、それを拾って一つ一つに対する思い出を回想しながら酒を飲む元夫。

    妻の不満に気がつかなかった夫、積み重なって行く些細な不満、心のすれ違い、割り切る妻と未練のある夫、関係の修復よりも仕事を優先した夫、そして、しばらくたってから、取り返しのつかないことになってしまったと後悔する夫。

    12章だけで一冊の本になりそうです。

    「だけど一緒に暮らしていた証拠を簡単にすてることはすぐにできなかった」

    日本では方付けコンサルタントが活躍していたり、断捨離なんて言葉が流行っています。認知症なのではないかと思われるお年寄りの家がゴミ屋敷として報道されることがあります。ものを処分できないのは、もったいないからではなく、一緒に暮らした証や自分が生きて来た証拠を失いたくないからです。

    人が紙の本に拘るのは、本の内容だけではなく、その本を手に取った瞬間、買った店、置いていた本棚、その本の周囲にいた自分の大事な人々の記憶を失いたくないからなのです。
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