【夏休みに読みたい本】田中 真知さん「たまたまザイール、またコンゴ」 グローバリゼーションの実態を理解したい人は読むべき一冊。



    著者の田中 真知さんより献本頂きました。誠にありがとうございます!

    真知さんは、1990年代にバックパッカーをやっていた人間で知らなかったらモグリと言えるほどの伝説的な方です。

    当時の旅人のバイブル的な雑誌であった「旅行人」(その前は「遊星通信」という名前でした)で連載し、長年エジプトに住んで、中東やアフリカ事情を執筆してきた方です。矢追純一マニアなら心を躍らせたハンコックの著書の翻訳者としても知られています。

    その真知さんの代表的な旅の一つが、コンゴ民主共和国、かつてのザイールにあるアフリカ第二の大河であるコンゴ河の川下りです。船を全く漕いだことがなかった真知さんと奥様が、手漕ぎの丸太船に乗り、マラリアに苦しみながら河を下ります。その1991年の旅は、最後の方にはジャングルで日焼け止めを塗りまくる奥さんと、虫刺されに苦しむ真知さんが、ザイールの理不尽と賄賂とサルの燻製にひどい目にあって終わります。

    しかし、本書が他の旅行記と異なるのは、後半は、21年後の真知さんが、現地で日本語を教えるシンゴ君という日本の若者と、全く同じルートを旅する点です。

    1991年のザイールは独裁政権で、人々はハイパーインフレに苦しみながらも、朴訥として雰囲気が流れる、緩くて、いかにもアフリカらしいところでした。

    ところが21年後に訪れたザイールは、コンゴ民主主義共和国と名前が変わっています。資源を巡る内戦があり、500万人以上が死に、路上には物やお金をねだる人が絶えず、外国人は誘拐を恐れて車でしか移動できない国になっていました。

    一方で、かつては、丸太をくりぬいてドンドコと叩いて通信していた人々は携帯を持ち、ジャングルの中で木材業を営むポルトガル人たちは、ネットをやっているのです。21年ぶりに訪れる真知さんは、現地の情報をネットで仕入れ、現地在住の日本人をネットで探し出し、友人がFacebookにアップした書き込みから、現地のガイドを探し出します。

    かつては安宿で旅行者がノートに書き残した不確かな情報や、口コミに頼っていた「僻地」の旅は、サイバー空間でのやり取りにより、効率化され、「僻地」のサルの燻製は、ブログやFacebookで、ケーキやクソコラと一緒に共有される素材に過ぎなくなっています。

    しかし、ポルトガル人がクソコラと2ちゃんを見ている横では、消毒液や抗生物質がないために、簡単な感染症で死んでしまう人がいます。

    グローバリゼーションが進んだおかげで、鉱物資源の需要が高まり、コンゴには鉱物を求める外国人が大量にやってきます。

    日本からODAを受け取っているはずの中国人は、なぜかコンゴのインフラ整備を一挙に引き受けて大儲けしており、街には中華料理屋が溢れています。ジャングルの奥深くでは、フランス人、イギリス人、アメリカ人、ポルトガル人などが、資源を求めて激しい交渉を繰り広げています。

    見るからに「悪い人」の顔をした現地の有力者達は、そういう外国人から、上納金を跳ねて、泥沼の様な道を、豹柄のコートや、アルマーニのスーツで闊歩するのです。

    利権をめぐって紛争が起き、国のごく一部が富む一方で、農産物も工業製品も輸入に頼っているので、国はかつてよりも貧しくなっています。イカダが行き交うだけだった河には、ゲリラや強盗に殺された人達の屍体が浮かんでいましたが、現地には水道が無いので、子供はその河で体を洗ったり、そこの水で料理しています。

    スマートフォンをジャングルでつなげるために、鉱物が掘り出され、人が殺されるのですが、その殺される人たちは、ブログやFacebookもAppleMusicも知りません。AndroidもiWatchも一生手にすることはありません。

    コンゴでは、現金収入がほとんど無いところの人達の手に届くガソリンの値段が、一リットル250円になり、かつて、人がのんびりと歩いていた道には、物乞いと強盗が溢れる様になりました。

    アメリカのトップ1%の人達の収入は増加し、日本とアメリカとイギリスからは、中間層の仕事が消え、先進国では、中間層と下層階級の賃金は、下がりっぱなしです。全世界で非正規雇用の人が増えています。

    グローバリゼーションの真実とは、つまりこういうことで、20年の間に、世の中は、仮想空間でつながる様にはなったけれども、何か、あまり良く無い方向に進んでいる、ということです。

    しかし、少なくとも、かつては、連載の読者であった、私が、憧れの人であった真知さんと、ネットでつながってしまったというのは、とても素晴らしいことの様に思います。

    ========


    こちらは私が読んだ真知さんの本の中で最も好きな作品です。エジプトというと、最近は、アラブの春やイスラム国ばかりで、普通の暮らしや、エジプトのディープな文化が話題になりませんが、イスラム教とキリスト教が共存する面白いところです。エジプトの下町生活やエジプト人の濃いキャラも楽しいです。



    さらにディープなアフリカ旅について読みたい方にオススメです。



    真知さんの旅の集大成ともいえる作品です。文体が美しく、本当は、本来はこうでなければならない、と思います。(本当は自分もこういう旅行記を書く人になりたかったんですけどねえ。。。炎上クイーンじゃなくて。芸風を変えたい)



    謎の遺跡、未確認飛行物体などという単語を聞いて胸が踊る方は必読のハンコック。読むと中東やアフリカ、南米に行きたくなります。翻訳は真知さんです。



    旅行人は雑誌としては新規発行されていないのですが、バックナンバーがアマゾンで買えます。ディープな旅をしたい人には旅行人ノートは必須です。ロンプラよりも使い勝手が良いです。私は月刊の頃の旅行人も大事にとってあります。当時は時々投稿する読者だったのです。



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