ハーフが美人なんて妄想ですから! ! - 困った「純ジャパ」との闘いの日々

    著者のサンドラ・ヘフェリン様(@SandraHaefelin)より献本(ありがとうございます)



    著者はドイツ育ちで現在東京在住の作家であり、日独バイリンガルの方である。双方の言語に精通し、
    NHKラジオ『まいにちドイツ語』にも出演されている。また『ハーフを考えよう』というサイトを主催しておられる。

    本書は、人種や国籍が異なる両親の間で生まれた「ハーフ」の人々が、二つ、もしくはそれ以上のアイデンティティ(自我)の間で揺れながら生活する実態を、描いた作品である。

    本書は「ハーフ」にまつわるあれこれを「あーこれってあるある」という軽いノリで書いてはいるものの、日本が抱える重大な問題を鋭く指摘している。本書の実態は、「娯楽本の皮をかぶった日本の文化人類学的考察書」である。

    指摘の第一点目。本書を読むと、日本の人々は、相手が自分と「所属する組織」が異なると、その人を受け入れることがない、ということがよくわかる。

    文化人類学者の中根千恵は「縦社会の人間関係」の中で、社会集団の構成の要因を、資格(構成員に共通したもの、例えば学歴、職業)によるものと場(地域、所属機関、立場)によるものに分類し、日本は場により社会が構成されていると分析した。



    本書を読むと、「ハーフ」は自分と所属する「場」がことなるよって、自分と同じ「場」には受け入れない、という態度を取る人が少なくないことがわかる。日本社会は変わったとは言っても、根本は、中根氏が分析した数十年前と何ら変わっていないのである。

    「そんなことはない」と否定される方、「私は違うわ」と言う方も大勢おられるかもしれないが、日本で「ハーフ」になってみないと実態はわからない。

    二点目は、日本の人々が相手の「所属組織」を「杓子定規に規定したがる」という点である。

    「ハーフ」に関しては、「ハーフは英語が喋ることができなければいけない」「ハーフはお金持ちである」「ハーフとは白人と日本人の混血である」という『あるべき論』が「普通の人々」によって延々と展開される。

    この人達の頭の中には、三重国籍を持っているが母語は日本語、一度も母国には住んだことがないアメリカ人、などは存在しないことになっているのである。

    筆者の知り合いの知り合いなど、父はアフガン人、母はラトビア人で、お互いの共通語はロシア語で、子供は家の中でラトビア語、ロシア語、パシュテュン語、英語、父の郷里のローカル言語など5つの言葉を喋りロンドンに住んでいて、国籍は三つあるが、日本の「普通の人々」は、このような子供を「何人」と呼ぶのか、筆者は大変興味深いのである。

    イギリスを始め欧州では、EU統合後人の行き来が飛躍的に高まり、今や異なる国籍や人種の結婚は少なくなく、国によっては結婚の半数以上が「異なる国籍の人と」ということがある。イギリスなどそもそも王室がドイツ系やユダヤ系で、イギリス人ではないのである。移民で成り立っている北米やオーストラリアは、さらに多様な人々がいる。

    あまりにも多様な人々がいるから「何人だからどう」「ハーフだから何語ができるに違いない」という質問は無駄なのである。

    通信技術の発達で、数十年前に比べ、多種多様な人と仕事する機会が増えた。ビジネスのスピードも上がった。日本ではここ数年、「国際化」、「グローバル化」「グローバル人材」という言葉が頻繁に使われているが、日本の「グローバル化」の障害になるのは「杓子定規な普通の人々の意識」のように思う。それが、「ハーフ」に対する態度から見えてくるのである。

    いくら、言葉遊びをしても、英語を社内共通語にしても、意識を変えない限りは、変化はないのである。

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    ハーフの子の母です

    ハーフの子を持つ母です。
    現在は父親の国(タイ)に住んでいますが、
    こちらでも「日本人の子だから金持ち」と思われているようです(汗)
    タイ語日本語共にできるので良かったんですが、
    日本語しゃべれて当たり前!という風に思われてもいます。

    西洋社会は進んでいるんですね。
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