【新作書籍】「不寛容社会 - 『腹立つ日本人』の研究」大増刷決定



    4月に発売した新作書籍ですが、好評により大増刷が決まりました。読者の皆様のおかげです!電子書籍は6月頃発売の予定です。

    以下目次と「はじめに」を公開いたします。

    はじめに

    第1章 他人を叩かずにいられない日本人

    「舛添氏叩き」から考える「他人叩き」の傾向
    メディアによる舛添リンチ
    舛添氏擁護の声はなぜ響かなかったのか
    回転寿司で庶民感情を刺激
    イギリスの政治家と舛添氏の違い
    海外では不倫よりセレブゴシップ
    有名人のバカンス情報が大好きな海外ゴシップ
    日本のゴシップは生ぬるい!
    日本のメディアはなぜ情緒的な報道に走るのか?
    「他人叩き」は費用対効果の高いコンテンツ
    感情的なものを求めがちな一般大衆
    「疑似人民裁判」で自己重要感を高める日本人

    〈コラム〉昼間にワイドショーが延々と流れるのは日本だけ

    第2章 「一億総叩き社会」日本の考察

    日本社会で「他人叩き」が広がっている理由
    日本人の「ウチ」と「ソト」の断絶
    「部署を移動したら他人」な日本人
    「資格」よりも「場」を優先する日本人
    「場」よりも「資格」を重視する北部欧州と北米
    超実利的社会の英語圏
    「資格」より「感情」を重視する地中海圏
    「ソト」には無礼な日本人
    高畑裕太氏の親に謝罪を求める心理 疑似家族的な「場」を大切にする日本人の弊害 日本の社会保障と「ウチ」「ソト」 日本人に降りかかる「あるべき姿」の圧力 ベッキーを大炎上させた日本人の理屈

    第3章 お笑い!海外の「他人叩き」 事情

    日本以外にもある「他人叩き」とその違い
    「他人叩き」が大好きなインド人
    インド人のカースト間紛争の激しさ
    イタリア人も「枠から外れる人間」を許さない
    時間悪口ざんまいのイタリア人
    他人の生活に介入したがるイタリア人
    「ゴッドファーザー」を地でいくイタリア人
    同調圧力がハンパないスペイン
    同調圧力が強すぎで経済危機に......
    お付き合いで「サービス残業」するスペイン人
    権威が大好きなスペイン人
    失敗を極度に恐れるスペイン人

    〈コラム〉 ゴシップよりも田舎暮らしの夢

    第4章 世界に学ぶメンタリティ

    日本人がメンタリティを学ぶべき国はどこか?
    私が驚いた中国人の「面子第一主義」 「面子」命の中国人 138 「他人の目を気にしない」中国人に学べ
    欧州北部や北米の「個人主義」に学べ
    個人主義で人間関係は気楽になる
    集団主義な日本人
    外国人との仕事に軋轢が生まれる理由
    ベッキー不倫騒動と日本人
    「階層」と「階級」があることは当たり前と考えよ
    「階層」と「階級」の違い
    他人に興味を持たないアメリカ人
    親が貧乏だと「階層」を移動できないアメリカ人
    先進国で若者の仕事が減り続けているのはなぜか
    日本人は「他人を叩いている」場合ではない
    政治家や役人の重要な不正こそ追求せよ
    枯れた国に学ぶメンタリティ

    第5章 新時代のただしい「正義感」 とは


    日本人の「正義感」はどこからくるのか
    日本の職場で発動する余計な「正義感」
    日本人の「正義感」が偏る理由
    日常生活での日本人の面倒な「正義感」
    大衆を煽るマスコミのずれた「正義感」
    日本のマスコミの「正義感」がずれる理由

    -------------
    はじめに

    私は 年代の半ばに留学のために海外にではじめ、アメリカ、イギリス、イタリアなど各国で働いてきました。国連の専門機関の職員だったときには、130か国以上の同僚がいました。現在は日本と欧州を往復して暮らしています。

    そうした海外での長い経験を経て、今あらためて日本について考えてみると、この年ばかりの間にずいぶんと「不寛容な社会」になってしまったと感じています。

    島国で閉鎖的な文化であることも関係あるかと思いますが、たしかに日本人には昔から心の狭いところがありました。しかし、それでも今から 年ほど前の景気が良かった頃は、もう少しカラッとした明るい雰囲気に包まれていた気がするのです。 特にここ最近では芸能人の不倫を「非倫理的」だと叩いたり、ブログやツイッターで、毎日のように有名人や一般の人の投稿が炎上しています。

    人的な体感としては2011年に東日本大震災があってから、叩く数も、ねちっこさも、さらに過激化したように感じています。

    過激な叩きで記憶に新しいのは、タレントのベッキーさんの「ゲス不倫」です。人気ロックバンド「ゲスの極み乙女」のメンバーと不倫していたことが週刊誌で報道され、CMだけではなく、出演していた番組をほぼすべて降板するまでの騒ぎになってしまいました。CM契約企業から訴訟をおこされるのではないかという話もあり、ネットでもテレビでも、まるでどこかの国に核弾頭が落とされたような騒ぎだったのです。

    しかし、よくよく考えてみれば、ベッキーさんは単に既婚者と付き合っていた、というだけです。しかもあくまで私生活での話。仕事で誰かに迷惑をかけたわけではありません。公的資金を不正使用したわけでも、誰かを物理的に傷つけたわけでも、何かを盗んだわけでもありません。何の犯罪も犯していないのにその扱いはまるで誰かを殺した人以上だったのです。
    ベッキーさんの件以外にも不倫報道はかなり昔からありました。

    ワイドショーを見たり、女性週刊誌を読むのが好きな少しませた子どもだった私は、俳優さん達の不倫報道をよく見ましたが、その内容はもっと色っぽく、湿っぽい話であ り、「悪い」「許せない」と叩く調子ではなかった記憶があります。 しかしベッキーさんの件は、まるで不倫自体が社会的な大変な害悪であり、まるで東 京を破壊したテロリストに対するような大きな怒りが向けられていました。 80年代まで の日本にあった、大人の関係をちょっと生ぬるく眺めるような、そういう余裕が一切な くなっていたのです。

    アメリカ、イタリア、イギリスに長年住んで働いてきた自分からすると、芸能人の不 倫がトップニュースになり何日も叩かれる様子は、大変奇異なものに映りました。

    メディアが独占状態で自由な報道をしにくいイタリアでさえも、日々のトップニュー スは経済や政治の重要な話題です。アメリカやイギリスは言うまでもありません。そも そもワイドショー番組すらないのです。 日本も年金問題や介護問題、労働者の実質賃金の低下、大手企業の不正経理、貿易問題、そしてまだ収束したとはいえない福島の原発問題など、重要問題が山のようになっ ています。

    そんな危機的状況にもかかわらず、日本のマスコミにとっても、一般の人にとっても、何より重要なのは「ゲス不倫」であり、本当の危機的な問題ではないようです。

    他の国であれば経済問題をもっと深刻に議論するでしょう。なぜなら国民一人ひとりの実生活にかかわることであり、マスコミが重要問題を伝えるのは、民主主義の下地でもあるからです。

    今やネットを見ても、日本では大手ニュースサイトで人気を独占するのは芸能ゴシップです。ツイッターやFacebookで騒がれるのは社会問題ではなく「ゲス不倫」や、芸能人の宗教入会の話です。そしてときおり、その辺の高校生がコンビニのアイスケースに入った写真をツイッターに投稿して大炎上したり、一般人のちょっとした〝やらかし〟投稿が、大勢の人に叩かれています。

    先述したように芸能人の不倫の叩き方は、死んで謝罪しろというまでの勢いです。ちょっとしたイタズラをした高校生は、自宅からアルバイト先、親の名前まで洗いざらいに調べ上げられ、社会的に抹殺されてしまいます。しかし、彼がしたイタズラで誰かが死んだわけでもなく、お店が潰れたわけでもないのです。

    こうした人達を叩いている人は、その芸能人にも高校生にもまったく面識がなく、叩いたからといって、何をもらえるわけでも、表彰してもらえるわけでも、お金が儲かるわけでもありません。

    なぜ日本人は見ず知らずの人を叩かずにいられないのでしょうか?

    なぜ日本人はこんなに不寛容になってしまったのでしょうか?

    なぜ海外では芸能人の不倫がトップニュースにならないのでしょうか?

    なぜ日本人は些細な事で正義感を発揮しようとするのでしょうか?

    日本人は集団ヒステリーなのでしょうか?

    本書では海外の事例を踏まえて、なぜ日本が「不寛容な社会」になってしまったのか。なぜ「1億総叩き状態」なのか。また、日本人が「他人叩き」をやめ、より住みやすい社会になるためには何が必要なのかを考えていきます。

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